当事者研究ブログ「大人の頭蓋骨縫合早期癒合症」

頭蓋骨縫合早期癒合症(軽度三角頭蓋)と高次脳機能障害(容量性注意障害)に関する当事者研究の記録です。言語性ワーキングメモリと日本語(右側主要部の規則)の関係、デフォルトモードネットワークの機能について研究しています。目的①頭蓋骨縫合早期癒合症を成人症例、生活史を記事としてまとめること。目的②特異的言語発達障害の当事者研究をもとに、日本語が日本人の思考に与える影響(サピアウォーフ仮説)を考察すること。

まだ日本語で消耗してるの?日本人が感じる「生きづらい」の根本的原因は、世界一難しい日本語を扱う外向的な社会

 

言語行為の重要度が高くなった現代

「難しい言語」を円滑に話したり、理解したりすることは、結構神経を使うので、疲れます。第3次産業がメインになった現在において、「難しい言語」を第一言語として扱う社会で社会人として生活することは、母国語話者にとっても過酷なものになると思います。

経済成長期に突入するまでの日本では、農業や製造業の国内で占める割合が高かったです。しかし、高度経済成長期をきっかけに国内産業が変化しました。経済成長率が停滞するにつれて、これらの業種は発展途上国へのアウトソーシングが進みましたが、その代わり、日本ではサービス業に代表される第3次産業が台頭しました。

第3次産業では事務労働の割合がほとんどです。例えば、社員同士の情報伝達だけでなく、顧客との会話、得意先との交渉などが挙げられます。これらのすべては言語行為です。もし、社会生活を送る中で適切かつ円滑に「難しい言語」を扱わなければ評価されないとしたら、その社会はハードモードであるといえるでしょう。

英語は通じず、英語と真逆な性質を持つ日本語しか使われていない日本は、日本人にとっても、ハードモードな生きづらい社会です。外国人にとっては当然のことですが、母国語話者である日本人にとっても「難しい言語」です。日本語が持つ難しさは、様々な観点で評価できますが、日本語の文法に限っては何のメリットもなく、ストレッサーでしかありません。

日本社会の「生きづらい」の正体

日本人の国民性の根本原理:他人からの評価が気になる

「日本が生きづらい国である」と考える人は多いようです。このことは検索エンジンに入力すると明白です。生きづらさという言葉は、ストレスに言い換えられます。

先述したように、日本がハードモードな社会であるということは、すでに多くの人が体感していることであることがわかりました。ストレスを感じるきっかけである日本人の行動原理は、「他人および社会の価値観に基づいた自分自身の客観視」でしょう。要するに他人からの評価が気になるということです。

問題は、この行動原理が国民性という印象に与えている影響です。このこの行動原理によってそれぞれ形成されている長所と短所といえる国民性は、表裏一体で同一のものですが、ストレスにつながるか否かという結果に違いが存在します。

礼儀正しさは他人への意識

まず、ストレスにつながらない、長所といえる国民性といえば、「礼儀正しい」ということでしょう。礼儀正しさは、優れた認知的共感によって成り立ちます。

www.nikkei.com

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日本人が礼儀正しいということは、海外でも同様に評価されています。普段のマナーもそうですが、礼儀正しさといえば、敬語表現が挙げられます。日本では3種類の敬語表現が存在していること、さらに追及すると、「私の母が申し上げていました」というように、叙述の中で登場する第三者の対する表現も、話す相手によって変化するということから、日本人が意識している他者との関係性は、話している相手と自分の関係性だけではないことがわかります。

同調圧力や忖度

一方の短所といえる国民性は、同調圧力および忖度に対する鋭い感受性(過敏性)です。「他人から自分がどう思われているか」という恐怖の感情によって、自分自身の考えの抑圧するというメカニズムがあると私は考えています。そして、日本人の価値観ということで、中野信子氏も同様の指摘をしています。

「相手の気持を察し、同調を求め、不倫をたたき、幸福度が低い」という日本人の価値観の背景には脳の影響がある

bunshun.jp

長所も短所も、もともとは他人が考えていることを推し量るという認知的共感によって形成された国民性であるという点で共通しており、表裏一体であることがわかります。すなわち、「自分本位」ではだめで、社会的に見た自分自身を重要視するという共通のメカニズムを持ちます。一方、唯一といってもよい相違点は、自己肯定感の程度です。

もともと自己肯定感が低い人もいますが、ストレスが積み重なったことがきっかけで、後天的に自己肯定感が低下することもあります。うつ病を発症した場合、全ての脳機能が低下し同調圧力や忖度どころではなくなりますが、なりかけの抑うつ状態であればすでに自己肯定感を失いかけます。神経科学的に説明すると、前頭前野が担っている実行機能が低下し、扁桃体の情動を抑制できなくなっている状態に陥っています。

おもてなしは、不機嫌になりやすい人が多い日本人のため

「おもてなし」ともいわれるマナーは、客である他人を不機嫌にさせないための配慮であるとも言えます。このことを言い換えると、日本人が礼儀正しさを重視するようになったきっかけが、もてなす相手である日本人が不愉快になりやすいからといえます。

ストレスをため込んだ抑うつ状態では、情動抑制の低下、すなわち「負の感情」のコントロールが困難になります。それは自己肯定感の低下だけでなく、負の感情にとらわれやすい状態になります。抑うつ状態のせいで常に不機嫌な状態の人物だけではありません。もともと怒りの沸点が異常に低い人物(間欠性爆発性障害という人格)も存在します。こちらは全世界共通です。

不機嫌になりやすい人物が多い日本人の客を不機嫌にさせないために、もてなす側の日本人はその場にふさわしいマナーを開発したといえます。敬語だけに限らず、茶道や冠婚葬祭での作法が、強迫的といえる次元であるのは、こうした背景があるはずです。

外向性とストレス

「他者指向な日本人」という前提で成り立つ社会

内向的・外向的という概念で説明すると、日本人は外向的であることを社会に強制させられているといえます。

ここでいう「内向的」とは、自分で物事を考えることを好むという哲学者的性格を意味しており、類義語は「内省的」が挙げられ、「引っ込み思案」とか「恥ずかしがり屋」ではありません。一方の「外向的」とは、他者とかかわることで、自分自身の価値観を見出すという意味で、「社交的」とは異なります。

相手を配慮、すなわち他者を怒らせないことや他者からの評価を下げないことのために日本人のマナーが存在することは良いことです。しかし、これとは別の面である「忖度、同調圧力」が目立ちます。そのストレスの原因は、「他人および社会の価値観に基づいた自分自身の客観視」を実行しているときのワーキングメモリの酷使による疲労だと考えます。

外向性とワーキングメモリ

複数の短期記憶を保持する脳機能を認知心理学ではワーキングメモリといいます。日本の社会は、日本人に対してワーキングメモリを常にオンにすることを要請しているといえます。

「他人および社会の価値観に基づいた自分自身の客観視」という外向的な行動原理の視点は、「自己」と「他者」に分解できます。すなわち、日本人は「自己」と「他者」を意識上に同時に保持している状態です。

「自己」と「他者」は短期記憶ではありませんので、日本人ワーキングメモリの理論に当てはめることは「やぶへび」、学術的には受け入れられにくいとは思います。しかし、日本人がワーキングメモリの酷使が習慣になっているといえる根拠は、ほかにもあります。それは日本語の文法です。

「えーと」が多い日本人

日本語が日本人にとっても難しい言語であるという証拠の一つ目として、日本人が日本語を話すとき、文の途中で「えーと」や「えー」、「あのー」といった言葉を挟むことが多いことが挙げられます。こういった言葉を、「フィラー」といいます。フィラーを発生している要因は、ワーキングメモリに負荷をかける日本語の文法であると考えています。

日本語の規範文法の根幹は、右側主要部の規則です。これがワーキングメモリの酷使につながっていると私は考えています。詳しい根拠は大人の事情(知的財産です…)で説明できませんが、概略は別の記事で紹介できればと思います。

日本人のストレスの原因:ワーキングメモリの負荷

言語行為や物事を計画立てるときに実行機能を使うことは、日本人に限ったことではなく、ほかの外国人がやっているですし、実行機能を使うこと自体は疲れることではありません。ただ、ワーキングメモリが必要不可欠になるレベルであれば、別です。

これまで説明してきたように、日本人はワーキングメモリの必要に迫られる場面が多く存在します。具体的には、日常では、他者と自己の同時保持を、日本語を扱うときには複数の意味を保持します。

こうして、日本人は言語を扱うときと人と接するときに、ワーキングメモリを酷使し、余計に疲労がたまっていきます。この疲労を睡眠などで回復できれば良いのですが、日本人は睡眠時間を削ってしまうため、残った疲労を蓄積していきます。

まとめ

  1. ワーキングメモリに負荷をかける行為は、疲労につながる

  2. 人と接するとき、日本人は「自己」と「他者」を念頭に置く

  3. 日本語の文法はワーキングメモリに負荷をかける

  4. ワーキングメモリに負荷を与えることが習慣化している日本人

  5. 睡眠不足で疲労が蓄積