「封印」されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

認知心理学の研究をする頭蓋骨縫合早期癒合症の成人当事者が考えたことを書いていきます。扱っている症状は原因不明のものばかり(泣)。当ブログの記事における内容及び理論は無断転載及び引用は禁止です。更新情報はツイッターでも配信しています。

斜視と頭蓋骨の形の関係についての仮説:「開散麻痺の原因は頭蓋骨縫合早期癒合症」という可能性について

内斜視を引き起こしている現象のひとつである開散麻痺は、現時点での医学によると原因不明と説明されています。

そこで、内斜視の当事者である私は自身の「経験」をベースに、開散麻痺の原因に関する推論を立てました。

長文になったので、要約をここに記載します。

  •  「開散麻痺」は、もはや特定不能概念である
  • 開散麻痺の治療方法は、基本的に手術しか存在しない
  • 早期癒合症による頭蓋内環境の変化は開散麻痺を引き起こすか?

注意事項:第5項で示していますが、私は開散麻痺を不特定概念とみなしています。すなわち、ここで記載する開散麻痺についての論考は、数ある「開散麻痺」のうちの一つの病理に過ぎず、「開散麻痺」の病理のひとつを紹介しているということをご了承ください。

 

 

第1 私の斜視について

1 内斜視による複視

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http://isedans.jp/symptoms/visual-field-defect/ から引用しました

 

力を抜きますと、私の目は、モノが二重に見えるという複視になります。物の輪郭がはっきりしているので、乱視ではありません。

私の複視は横にずれるというものです。

私の視界が複視になっている原因は、内斜視です。

 

2 潜伏性内斜視(内斜位

しかし、私の内斜視は常に斜視の状態というわけではありません。脱力すると斜視になるという、「潜伏性内斜視」です。

私の眼はデフォでは寄り目なので、普段は「意識して」両目を外側に動かして、複視にならないように焦点を合わせています。なので、普段の目は斜視ではありません。

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https://blogs.yahoo.co.jp/tkakt_v3/32921369.html から引用

この「意識して」という概念について説明するのが難しいところで、呼吸と同じといえばわかるでしょうか。呼吸は自発的にストップさせることが同じように、「内斜視の外転」も自発的にストップできます。そして無意識に呼吸しているのと同じように「内斜視の目を外側に動かす行為」をしています。これは呼吸に等しい「生理的機能」なのでしょう。

なのでお酒を大量に飲んで酔っ払ったときは、眼筋の働きがマヒするので、両目が内側に寄ります(カワイイ)。もちろん、このとき複視を感じるようになります

 

3 内斜視による強い眼精疲労

私が患っている潜伏性内斜視は両眼視が可能であるため、複視にならないように目を動かしています。その負担は大きいようで、眼精疲労が非常に強いです。

 

4 開散麻痺による内斜視

この内斜視の原因について、眼科では「開散麻痺」と診断されました。(開散麻痺については後述)

 

以上、私の斜視に関する内容をまとめますと、以下のようになります。

開散麻痺 → 潜伏性内斜視 → 眼精疲労 or 複視

眼精疲労の原因:「内斜視の両目を外側に動かす行為」

 

第2 内斜視の原因についての医学による見解

ここでは、医学的に説明されている内斜視の病理について紹介していきます。

 

1 内斜視の分類

  • 外転神経麻痺由来の内斜視
  • 開散麻痺由来の内斜視
  • 重症筋無力症による内斜視
  • 窮屈症候群による内斜視

などが、医学で定義づけられている内斜視の類型です。

 

2 外転神経麻痺の特徴と原因

眼球を外側に動かす神経が麻痺(動きがわるくなる)し、複視を自覚します。複視は、麻痺側を見ようとすると悪化します。原因としては、脳血管障害、糖尿病、頭部外傷などが考えられます。通常、片眼性ですが、脳腫瘍などで頭蓋内圧が上昇した際は、両眼性の外転神経麻痺を引き起こします。*1

 

「外転神経は脳幹(橋)から出て,脳神経のなかで最も長い距離を走行して外眼筋に至ります。長い距離を走行するため,「頭蓋内圧亢進」という変化を受けやすいといわれています。患者さんは,片側ないし両側の眼球が外側を向けないため複視を訴えます。」*2

 

3 開散麻痺の特徴と原因

開散麻痺(Divergence paralysis)は核上性の麻痺によって突然に共動性内斜視が生じる病態であって、非交叉性(右目で見たときに像が右にずれて感ずる)の複視を遠方視で自覚する*3

 

→「核上性の麻痺」とは、外転神経の「始点」である外転神経核の病変を原因とする麻痺を指します。

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http://www.akira3132.info/nerve_system.htmlから引用

 

脳の付け根の部分である脳幹と呼ばれる部分の障害で起こるといわれています。はっきりとした原因が不明のこともありますが、脳血管障害、脳腫瘍、外傷などで発症するといわれています。

…開散麻痺は、遠くを見る時に目を離す離し目(開散)が上手にできなくなる状態をいいます。

開散麻痺は、どちらかの目が悪いというよりも、両目の共同性の動きが障害された状態といえます。読書など近くを見た時は複視の自覚はなく、遠くを見た時に複視を自覚します。脳幹と呼ばれる部分の障害で起こるといわれています。原因は不明のこともありますが、脳の血管障害、脳腫瘍、外傷などが挙げられます *4

  

開散麻痺に関する医学の見解を要約すると、以下の通りです

  • 開散麻痺は必ず両眼性内斜視になる
  • 原因の特定は困難である。
  • 大脳基底核の外転神経核の病変を原因として考える解釈が存在する

 

第3 内斜視の治療方法

1 外転神経麻痺と診断された場合

外転神経麻痺については、頭蓋内圧亢進を引き起こしている病巣の解消を優先します。これにより根本的治療が達成可能になります。

 

2 開散麻痺と診断された場合

病理不明の開散麻痺に対する治療は、いくつかのステップが存在します。まずはビタミン剤の投与です。眼筋麻痺の原因の一つに、脳へのビタミン供給量の不足が想定されるという考えのもとでの治療になります。

次にプリズムレンズの眼鏡を使った対象療法です。

そして最後の手段は、眼位矯正手術です。もちろんこれも根本的治療ではなく、対症療法です。

 

3 開散麻痺は予後が悪い

眼位矯正手術で眼位のずれを改善することは可能ですが、開散麻痺は残存するため、不自由が解消されるわけではありません。

具体例として後述の治療体験談をご覧ください。

 

第4 開散麻痺の治療経験談

ここでは当事者の私が体験してきた内斜視治療の経緯を紹介します。

 

1 手術を受けるまで

まず、開散麻痺であると診断されたとき、プリズムレンズを処方されました。私の内斜視の眼位のずれは「測定不能」でしたので、処方されたプリズムレンズは、メーカーが作れる最大限の屈折角度が入ったものでした。

しかし、プリズムレンズの眼鏡をつけても眼精疲労が解消されることはありませんでした。こうしたいきさつで、最終的には眼科医から手術を受けることを勧められました。

 

2 手術の結果

合計3回の矯正手術を受けました。

手術の結果、斜視によるズレの程度はだいぶ軽減されました。しかし、眼位のずれがわずかに残っています。このわずかな眼位のズレによる複視の影響は依然強いままです。

こうなったのも当然のことで、目を寄せられなくなるほど引っ張ると今度は近くの対象物を見るのに支障が発生します。

現在私は、プリズムレンズを搭載した眼鏡をかけて生活しています。しかし、それでも自力による目の外転をしているためか、眼精疲労の症状は強いです。

 

第5 「開散麻痺」は不特定概念ではないか?

開散麻痺の病理が医学的に未解明ということから、「開散麻痺」という概念が、現時点での医学では便宜的に定義づけられた不特定概念(原因が特定されている外転神経麻痺以外の内斜視)であるという考えを持つに至りました。

「開散麻痺」と診断された状態では、発生している症状自体は共通しているということでしょう。しかし、開散麻痺の病巣が未解明ということは病理が不明なわけで、やはり不特定概念であるといえます。

 

 

第6 開散麻痺による内斜視の原因についての考察

冒頭で記載したように、開散麻痺は不特定概念であるという考えのもとで、開散麻痺の病理を抽出します。数ある「開散麻痺」のうちの一つの病理に過ぎないという可能性が十分にあります。

 

1 私が抱えるほかの疾病

私は、内斜視以外にも様々な症状を抱えています。

身体症状では「悪心のない嘔吐」

そして、頭蓋骨縫合早期癒合症(以下「早期癒合症」と記載)です。

 

2 仮説

「開散麻痺」に対する医学による解釈に基づいて、「開散麻痺」の病理に関する2つの仮説を私は立てました。その内容は以下の通りです。

 

  • 「頭蓋骨縫合早期癒合症による大脳皮質圧迫を原因とする外転神経核の機能低下」が引き起こす

こちらの仮説は、私に対する「開散麻痺」の診断が正しい場合に立てられる仮説です。

 

  • 「頭蓋内圧亢進症状による頭蓋内圧亢進を原因とする外転神経圧迫」が引き起こす

こちらの仮説は、私に対する「開散麻痺」の診断が不適切である場合にたてられる仮説です。ここで示した病理は外転神経麻痺のものです。

 

3 仮説を実証するためには

頭蓋骨縫合早期癒合症が3種類の悪影響を引き起こすことについて、当ブログのなかで紹介しています。

 

atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp

 

 

私が罹患している症状を箇条書きにすると以下の通りになります。

  • 精神症状:不注意、特異的言語発達障害(言語発達遅滞)
  • 身体症状:悪心のない嘔吐、内斜視(内斜視のみとは限らない可能性あり)
  • 外見的悪影響:頭蓋骨の形のいびつさ、頭皮の下垂など

 

すると、早期癒合症由来の開散麻痺の存在を実証するためには、私以外の以下の患者の存在が必要になるでしょう。

  • 早期癒合症、およびそれ由来のほかの症状を併発している斜視の当事者
  • 斜視を併発している早期癒合症の当事者

もしいらっしゃっいましたら、わたしのもとまでご一報いただけますと幸いです。

 

第7  なぜ医学は開散麻痺の原因を「抽出」できないか

軽度の早期癒合症は、医学的にも議論の多い疾病です。現状では脳神経外科学は軽度の早期癒合症を手術対象として公式的に認可していません。つまり病気として認めていないのです。

原因不明の病気の病理を研究する際、既存の疾病概念と結びつけることは可能でしょう。しかし一方で、医学的に認知されていない現象同士である「軽度三角頭蓋」と「開散麻痺」をお互い結びつけることは不可能です。

もし、軽度三角頭蓋が様々の症状を引き起こす疾病であることが正式に認められたならば、私の開散麻痺の病理に関する研究が進むのではないかと私は考えています。

 

当ブログでは、軽度三角頭蓋に関する論争をテーマとした記事を紹介しています。

ぜひご覧ください。

 

atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp

 

*1:

http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_w-vision.jsp

*2:「循環器ナーシング」2011年10月号<基礎力を高める! 脳血管障害看護のトピックス(前編)>

*3:http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/51691216.html

*4:

http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_w-vision.jsp