「封印」されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

頭蓋骨縫合早期癒合症と特異的言語発達障害(聴覚情報処理障害)の当事者研究ブログです。主にワーキングメモリ(注意容量と音韻ループの関係)について研究しています。更新情報はツイッターで配信しています。(キーワード:特異的言語発達障害(聴覚情報処理障害)、音韻ループ、軽度三角頭蓋)

頭蓋骨の形態異常と、精神障害の外因性および内因性 / 頭蓋骨の大きさ、形の特徴と、発達障害との関係性

検索エンジンに「発達障害」という言葉を入力したあとに出てくる検索候補に、以下のような言葉が存在します。

発達障害 頭デカい」

発達障害 頭が大きい」

 また、

自閉症 頭が大きい」

自閉症 頭囲」

 という検索候補も存在します。

あとはYahoo知恵袋でも こういった質問があります。

 検索候補として挙がるということは、発達障害の原因を頭の大きさにあると考えている人が、ある程度存在することを裏付けています。

そこで今回は、精神障害の頭蓋骨の大きさ、および頭蓋骨の形のいびつさとの関係について論じます。

キーワード:外因性精神障害、内因性精神障害高次脳機能障害水頭症

 

 

第1 頭の大きさと精神障害の外因性および内因性

ここでは、頭囲の大きさの異常と同時に、精神症状を併発させる疾患を列挙します。

1 頭囲が小さい、且つ精神障害が併発する例

  • 小頭症
  • レット症候群など

ここで列挙した疾病はすべて先天性疾患であるため、それに付随する精神症状は精神発達遅滞と評価されています。この精神発達遅滞は内因性精神障害であり、また神経発達障害(=発達障害であるとも評価できます。

 

2 頭囲が大きい、且つ精神障害が併発する例:水頭症

水頭症は、その多くが先天性の脳組織の構造異常です。具体的には脳組織の外側を流れる脳脊髄液の循環が障害され、その結果脳組織に脳脊髄液が貯まるという病態を持つ疾病が、水頭症です。

すると、脳組織が圧迫されたことで、頭蓋内圧が亢進し、頭蓋内圧亢進症状として身体症状および精神症状が現れます。このうちの精神症状は、先ほどと同じく「精神発達遅滞」と評価されています。

水頭症でみられる精神発達遅滞は水頭症によって発生したものです。すなわち、この精神発達遅滞は原因疾患が水頭症を引き起こしている脳の構造異常を治療することで、精神障害の解消が期待できます。

前に紹介したレット症候群で見られる精神発達遅滞は内因性精神障害でした。これに対して、水頭症で見られる精神発達遅滞は、外因性精神障害であり、ある意味「高次脳機能障害であると評価できます。

水頭症の詳細は以下のHPをご覧ください。

 

 

第2 「頭が大きい」は病気の結果か、もしくは病気の原因か

このように、「頭の大きさ」の異常が精神障害の付随症状であるケースと、

しかし、頭蓋骨の大きさとは生まれながらの個人差によるものもあるわけで、「頭が大きい」というのは、すべてが病気によるものではありません。頭蓋骨が大きいことが持つ精神障害との関連性を考察するためには、この事象のポジションが何処にあるのかを定めなければなりません。

すなわち、「頭蓋骨が大きい」という事象は、精神症状を引き起こす疾病の結果なのでしょうか?それとも原因なのでしょうか?

それぞれのパターンについてみてみましょう。 

① 「頭蓋骨が大きい」が結果であるパターン

すなわち、精神症状を引き起こす疾病の結果、「頭蓋骨が大きく」なった場合を意味します。

病気 → 頭蓋骨の肥大化 & 精神障害の発生

代表例:水頭症(精神発達遅滞)

水頭症のメカニズムは、すでに医学的に実証されています。私から言及することは特にありません。

 

② 頭蓋骨が大きいことが原因であるパターン

すなわち、本来の頭蓋骨が大きいために、精神症状を引き起こす疾病に冒された場合を意味します。

大きい頭蓋骨 → 病気 → 精神障害の発生

このパターンについては医学的には実証されているものは存在しません。

しかし、本来の頭蓋骨の大きさが大きいことを原因とし、なお且つ精神症状(発達障害的症状)を引き起こす疾病として、軽度な頭蓋骨縫合早期癒合症が挙げられると私は考えています。

 

第3 「軽度早期癒合症」について

1 頭蓋骨の大きさが原因であると考える根拠

この場で主張したいこととは、頭蓋骨縫合早期癒合症という疾病が、外因性精神障害を引き起こ

一般的な早期癒合症は、出産直後だけでなく胎内にいる時点で頭蓋縫合線が完全に癒合し、頭蓋変形が確認できることもあります。

これに対して、「軽度早期癒合症」(軽度三角頭蓋を含める)は、通常の早期癒合症とは異なり、出生時点で頭蓋縫合線が完全に癒合しているわけではなく、生まれてからしばらくの間でも大泉門や小泉門の存在を確認できます。それに加え頭蓋変形の程度は顕著ではないため、専門医が見逃してしまいます。しかし、それでも頭蓋骨縫合が早期に癒合している所見である骨状隆起が存在します。

軽度の早期癒合症が発生するメカニズムについての私の持論は、以下の記事で紹介しています。

リンク先の内容を要約しますと、

  1. 早期癒合は胎内での頭蓋形成段階で発生するのではなく、出産後の骨重積の「戻り」が不十分であったことが原因
  2. そしてこれを助長しているのは、頭蓋骨の大きさと母体の産道の幅との相性の悪さである

という推論です。

 

2 軽度早期癒合症による頭蓋骨の形のいびつさ

軽度の早期癒合症が引き起こす頭蓋骨形成のいびつさは、素人の観点だけでなく医師にとっても鑑別しにくいほどの軽微なものです。

専門家による臨床研究によると、軽度三角頭蓋の外見的特徴は以下の通りであると報告されています。

・前頭部の骨性隆起

・前側頭部の陥凹*1 

しかし、軽度の早期癒合症による悪影響は臨床研究が提示している部分だけに限りません。そこで、当ブログでは、軽度の早期癒合症による外見的悪影響を紹介していますので、ご覧ください。  

 

第4 (補足)自閉症と「大きい頭」の関係

冒頭でも紹介しました通り、自閉症スペクトラムと頭蓋骨の大きさについて関心を持っている方が多く存在するそうです。

詳しくは存じ上げませんが、実際、脳内の細胞の数と自閉症スペクトラム障害の病理を解明するといった研究(例えば「刈り込み」との関連性に関する研究)は存在していたかと思います。しかし、これらは脳組織の多さであり、頭蓋骨の大きさについて言及している研究ではないので、頭蓋骨の大きさが自閉症スペクトラムの発生に直接的に関与しているという研究はありません

しかし、「本来の頭蓋骨が大きいことが原因で軽度の早期癒合症が発生する」という私の推論が正しかったとしましょう。早期癒合症は重症化した場合、大脳辺縁系(海馬を中心とする領域)の神経発達に悪影響が出る可能性が存在します。すると、デフォルトモードネットワークへの悪影響は避けられません。

早期癒合症が原因で自閉症スペクトラム障害の症状が現れている(病理は未解明です)というのが事実であれば、早期の治療がなによりも重要ポイントとなるでしょう。

*1:日本児童青年精神医学会「児童青年精神医学とその近接領域 57(1)」, p.152 2016年