「封印」されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

考えたことを発信しています。メインテーマは認知科学。頭蓋縫合早期癒合症、および「ワーキングメモリ容量減少症候群」(仮)の成人当事者です。実行機能(ワーキングメモリ)について研究中。

ワーキングメモリの容量障害および機能障害と、認知可能な言語情報の個数

言語情報の認知プロセスの中身ではなく、それを一つの認知行為としてとらえた場合に、容量障害と機能障害が引き起こす問題の違いについて紹介する。

結論をいうと、言語情報を認知できるか否かは、ワーキングメモリの注意制御機能の有無によって規定される。一方で、同時に認知できる言語情報の量は、ワーキングメモリの機能ではなく、容量によって規定されると私は考える。

 

例えば、新聞やラジオ、人の話といった複数の言語情報が存在する空間があったと仮定する。この場合、言語情報は複数存在しているといえる。

この時の認知について、以下の場合とその結果を記述する。

 

1 ワーキングメモリの容量が大きい場合

多くの言語情報を同時に認知できる。

 

2 注意制御機能が低下している状態(ADHD)の場合

どれか一つの言語情報の認知に努めたとしても、これらの言語情報が「混線」するために認知できない。通常、目的の言語情報を認知する際、選択的注意が機能する。それが機能していない結果として「混線」する。

この状態を解決するためには、複数の言語情報が存在しない環境で、目的の言語情報処理をしなければならない。

すなわち、認知ができていないのだろうか。いいえ、私は言語情報としての認知はできていると考える。認知できている言語情報が同時に複数流れ込んできて、それぞれの言語情報として認知できていない結果が、「混線」ではないだろうか。

 

3 ワーキングメモリの容量が小さい状態(「注意欠陥症状」)の場合

ADHDの場合とは異なり、選択的注意が可能である。この点がADHDとは異なる。ゆえに複数の言語情報から目的の言語情報のみに注意を絞り、目的の言語情報を認知できる。

しかし、問題点は別の部分で現れる。それは、同時に認知可能な言語情報の数である。ワーキングメモリの容量が小さいと、複数の言語情報を認知するのは不可能である。上記の例でいえば、3つの言語情報のうち、同時に認知できるのはどれか1つの言語情報だけである。このとき、3つの言語情報を音として知覚は実践されている。

 

結論

ワーキングメモリが機能障害を起こしている状態であると、選択的注意が機能していないために言語情報が混線し、その結果、特定の言語情報を認知できない。混線しているということは、認知はできているのではないかと私は考える。

ワーキングメモリの容量が小さくなったとしても、注意制御機能そのものは機能している。しかし、問題は「注意制御が可能な対象」が限定的になることである。

この表現が正しいかどうかは不明だが、心理学者ネルソンコーワンの表現を借りれば、「注意の焦点」の容量が狭くなっているといえる。

 

さて、ここまでは、認知できる言語情報の個数に焦点を当てた内容である。その結果、ワーキングメモリが小容量であったとしても、認知できる言語情報の個数が少ないながらも、言語情報を認知できるという結論が得られた。

 

しかし、それはまちがいである。

ワーキングメモリ容量が小さいことで引き起こされる問題とは、認知できる領域(注意の焦点)の狭小化であり、その原因は同時処理の困難さである。言語情報の認知行為そのものが同時処理の「塊」なので、ワーキングメモリの小容量化は言語情報処理においても問題が発生するというのが、私の見解である。

 

次回は言語情報認知そのものとワーキングメモリの容量との関係についての記事を書く。