封印されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

主に認知系統の学問を題材に、論文の下書きのような感覚で情報発信しています。読みにくい文章ですみません。きっかけは特異的言語障害(SLI)・聴覚情報処理障害(APD)・注意欠陥症状(ADD)。頭蓋縫合早期癒合症の成人当事者です。中央実行系(ワーキングメモリ)について研究中。

脳内の情報処理機構(中央実行系)におけるワーキングメモリの役割

私のプロフィールの中でも紹介しているように、私は「ワーキングメモリ」という概念に強い関心を持っており、それについての学習をしております。

 

ワーキングメモリについて学習していくうちに気づいたことがあります。それは、「人間が持つ全ての認知機能」のなかで、重要な役割を担っているということです。

 

今回はそんなワーキングメモリに関する話をします。

 

  

 

第1 事前知識

1 中央実行系の部品の一つであるワーキングメモリ

冒頭で述べた「人間が持つ全ての認知機能」というのが、中央実行系と呼ばれる概念に該当します。

もう少し具体的に説明すると、人間が脳内で行う知的生産活動および情報処理活動を機能する主体としての役割を持つという、認知心理学によって定義づけられた概念です。少々雑な表現に戻りますが、「人間の思考そのもの」といっても良いでしょう。

ワーキングメモリは、その中央実行系の部品の一つです。

 

例えば、

中央実行系が機能しなければ、ワーキングメモリも機能しません。

一方でワーキングメモリの容量が小さいからといえ、中央実行系が機能していないとは限りません。

つまり、

「中央実行系」 ⊃ 「ワーキングメモリ」

以上のような図式、すなわちワーキングメモリは中央実行系の一部であり、その機能は中央実行系によって支配されているといえます。

 

中央実行系の機能については別の機会に紹介するとして、今回はこの一部であるワーキングメモリの機能、役割について紹介します。

その前に記憶について触れる必要があります。

 

2 短期記憶と長期記憶

記憶は、その持続時間の違いにより、長期記憶と短期記憶の二種類に分類できます。

 

・長期記憶

心理学的にいえば、エピソード記憶や手続き記憶、意味記憶が長期記憶に該当します。いわば、知識、論理、経験の積み重ねであり、論理性や知性の指標となる記憶とでもいうべきでしょう。その保存可能容量は無限です。

 

・短期記憶

例えば、人間は周りの状況に適応するために、外部からの認知および知覚した情報を処理しなければいけません。そのため、外部からの情報を脳内で処理できるかたちに変換する必要があります。そこで、変換された結果が記憶というかたちです。これを短期記憶といいます。

つまり短期記憶の内容とは、外部から入力された認知および知覚情報、および、外部へ出力する情報です。

その性質は、持続できる時間が短いという点です。短期記憶の情報が長期記憶へ昇華されるためには、海馬による精緻化リハーサルが必要です。

短期記憶の保存可能容量は人それぞれで、容量の場合によっては発達障害や精神症状と強い関係にあると私は考えています。

 

 

第2 (本題)ワーキングメモリの役割

ワーキングメモリの役割を説明するまえには、立ち位置や機能をそれぞれ紹介する必要があります。

 

1 情報処理の入力出力過程における立場

 外側↔ワーキングメモリ↔自己(長期記憶) 

 

ワーキングメモリは、自己の意識とその外側との中間に位置する「容器」です。

よって、自己の内面と外側との間にある媒体(インターフェース)としての役割を担っているといえます。

 

2 ワーキングメモリの機能: 短期記憶情報の保存先の領域

インターフェースとしての役割というのが、短期記憶として変換された情報の一時的な保存先容量という役割です。

 

その役割は2つの情報処理過程、すなわち、短期記憶へと変換された外部から入力された情報の一時的な保存先としての機能と、その逆、すなわち短期記憶へと変換された外部へと出力される情報の一時的な保存先としての機能です。

 

3 ワーキングメモリとパソコン

ワーキングメモリが持つ「短期記憶の貯蔵先としての機能」について身近なもので例えるならば、パソコンのメモリ、あるいはスマートフォンのRAM(Random Access Memory)に該当します。

 

ユーザーがなんらかの演算処理をするようにパソコンに命令を出したとします。すると、

①はじめに、外部から入力されたユーザーによる演算命令の内容をメモリに一時的に記録します。

②演算命令の材料にふさわしいプログラムデータ、あるいはメディアファイルを、記憶領域であるHDDから選別します。(ここまでが入力)

③選別されたデータをメモリに一時的に記録します。

④そして、ユーザーが命令した演算処理がキャッシュメモリの中で行われます。

⑤演算処理の結果がコンピュータから出力されます。

 

以上が、パソコンの入力および出力の演算処理の過程です。

パソコンのメモリの中で行われているプロセスは、①および③、④に該当します。すなわち、メモリはパソコンの情報処理活動のプロセスの末端に位置しており、ユーザーという外部とパソコンによる知的生産活動という内部のあいだに位置する媒体としての役割を担っています。

 

ワーキングメモリも同じで、こういった知的な作業をおこなうための記憶領域であることから、ワーキングメモリは「作業記憶」とも言われています。

 

ワーキングメモリが関わってくる中央実行系の機能に関する具体例は、後日投稿します。(予定では言語処理)