「封印」されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

頭蓋骨縫合早期癒合症と容量性注意障害に関する当事者研究ブログです。主にワーキングメモリ(注意容量と音韻ループの関係)について研究しています。更新情報はツイッターで配信しています。(他キーワード:特異的言語発達障害、軽度三角頭蓋)

軽度の頭蓋骨縫合早期癒合症(軽度三角頭蓋)の原因についての持論

軽度の頭蓋骨縫合早期癒合症の当事者の観点から、その疾病の原因についての仮説を立ててみました。(キーワード:軽度三角頭蓋、先天、後天、骨重積、産道) 

三角頭蓋・軽度三角頭蓋とは?

三角頭蓋とは、頭蓋骨縫合早期癒合症のうち、前頭縫合の早期な癒合によって発生する病態であり、真上から見るとおでこにかけてとがった形をしています。

頭蓋骨縫合早期癒合症(以下、「早期癒合症」)のなかには、病態の程度が軽度なものが存在します。そのうちのひとつである「軽度三角頭蓋」は、現在においても治療の賛否が分かれており、早期癒合症医療における最大の論点となっています。

 

早期癒合症、および軽度の早期癒合症によって発生する症状については、以下の記事の中で紹介しています。 

 

序論

2018年現在においては、早期癒合症(症候性を除く)の発生原理は、解明されていませんので、「本当のところ」はどうなのかをここで紹介することは、残念ながらできません。つまり、ここで扱う内容はあくまでも仮説であることをご承知おきください。

① まず、通常の早期癒合症と軽度の早期癒合症は、発生原理が異なると、私は考えています。

② つぎに、そのメカニズムについて。

通常の早期癒合症は、胎内にいるときから病態が完成する、すなわち先天性疾患であることはすでに証明されています。それに対し、軽度の早期癒合症は、出産時に病態発生の原因が形成される、後天性疾患であると私は考えています。

 

軽度三角頭蓋は「個人差」か?

医学従事者の殆どが軽度三角頭蓋の手術に対して否定的です。その理由は様々ですが、その根底には、軽度三角頭蓋は「そのように作られた」早期癒合症とは異なり、あくまで「個人差」である、という考えがあるように私は感じます。

私の推測では、胎内で頭蓋骨が形成される段階で、「そのようにして作られるべくして作られた」結果が早期癒合症ではないかと私は推測しています。

ご存知の通り、典型的な早期癒合症がもたらす頭蓋の変形の度合いは強いです。これを踏まえると、早期癒合症が発生する時期とは、出産してからではなく、胎内にいる段階であるという推論を立てる余地があります。

これに対し、軽度三角頭蓋は、「そのように作られるべくして作られたものではない」と推測します。なぜなら、出産後も大泉門や小泉門の存在が認められるからです。すなわち軽度三角頭蓋とは、頭蓋骨が閉じる時期が、通常の頭蓋骨と比べて早かった結果だと私は考えています。

では、「そのように作られるべくして作られた」わけではないにも関わらず、早期に癒合する可能性はあるのでしょうか? その可能性について以下、推論を立ててみました。

 

仮説の詳細:なぜ早くに閉じてしまったのか?

1 「骨重積」という頭蓋骨の機能

ここで、赤ちゃんの頭蓋骨の機能について説明します。

人間の赤ちゃんの頭蓋骨が癒合していないのには理由があります。それは赤ちゃんの頭部が産道に通るためです。頭蓋骨が小さく変形することで産道に頭が通るという構造になっていますので、もし頭蓋骨が「完成」されていたとしたら変形できずに産道を通れないのです。

この機能を「骨重積」というそうです。 

骨重積⇒児頭が骨盤内に侵入するときの応形機能で、恥骨側にくらべ抵抗の多い仙骨側の頭蓋骨が恥骨部の頭蓋骨下に重なりあう。そうすることで児頭の産道通過断面の縮小化を行う。頭位でのみ起こる。*1

 

2 骨重積の「もどり」と早期癒合

以上のことから、「頭蓋骨に一番負担がかからない」、すなわち骨重積が軽い程度ですむような理想的な組み合わせが、「小さい頭蓋骨と幅の広い産道」という組み合わせであることを理解していただけるかと思います。

 話を戻しまして、骨重積の話から、頭蓋縫合の後天的な早期癒合を引き起こす原因の一つに、出産時の母体の産道と赤ちゃんの頭蓋骨の相性、という問題の可能性を仮説として私は提起します。

「大きい頭蓋骨と幅の狭い産道」という組み合わせの場合、どうなるか?上記の内容より導き出せるのは、産道を通るためには骨重積の程度を強くしなければいけません。

 そして産道を頭蓋骨が通り抜けたとしても、変形の程度が強いがゆえに出産後の骨重積の「戻り」が不十分になってしまうということはないでしょうか。

この「戻り」が不十分であれば、縫合の隙間の面積が狭まります。これが通常の場合よりも早くに縫合が癒合する原因であり、こうして軽度の早期癒合症が生まれるのではないかとわたしは考えます。

 

結論

以上の内容をまとめますと以下のようになります。

軽度の早期癒合症(軽度三角頭蓋)の発症メカニズムに関する仮説

  • 軽度の早期癒合症の根本原因は、患児の頭蓋骨の生来的な大きさが大きいこと
  • 産道を通ったあとに解消されるべき骨重積が、不十分な解消であること
  • 頭蓋縫合が閉じた状態であるため、癒合が早期になったこと