封印されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

病気ブログというよりは、心理学や言語学を扱ったブログです。きっかけは特異的言語発達障害(SLI)・聴覚情報処理障害(APD)・注意欠陥症状(ADD)。頭蓋縫合早期癒合症の成人当事者です。

注意力(ワーキングメモリ)の役割とその障害

注意欠陥障害の問題とは、文字通り注意が欠如しているのですが、私が「注意力」と名付けたものは、一般的にワーキングメモリと呼ばれています。ワーキングメモリはいわば

自己の意識とその外側との媒体

のような役割を担っています。ワーキングメモリの役割の詳細を、記憶との関連性を紹介しながら説明します。

 

・ワーキングメモリの役割と短期記憶・

記憶は長期記憶と短期記憶の2つに分類されます。

短期記憶と長期記憶の関係性を説明すると、短期記憶から海馬による精緻化リハーサルを通して変換されてできあがる記憶が長期記憶、といったかんじです。

長期記憶は場所が変わり時間が経過しても引き出せる性質を持っており、その貯蔵可能容量は無限であるといわれています。一方の短期記憶の貯蔵可能な容量は人それぞれです。

ワーキングメモリとは、短期記憶のほうの「貯蔵庫」の役割を担っているものとして概念化されたイメージです。脳みそのどこにあるかは未だによくわかっていないようですが、私は大脳皮質にあると考えています(その根拠は自分の経験より)。

 

人間が外部からの情報の入力処理、及び外部への情報の出力処理を行う際には、情報の短期記憶としての記銘がされています。つまり、ワーキングメモリに情報を貯蔵し、短期記憶としての積み重ねをしながら情報処理をしているのです。

 

 

・ワーキングメモリのイメージが把握しにくいという方へ・

わかりにくいと思うので身近な例を上げると、パソコンのキャッシュメモリがワーキングメモリに該当します。パソコンが何らかの情報処理をするとき、まずHDD(あるいはSSD)に入っているプログラムデータやメディアファイルを読み出します。つぎに読み出したそれらのデータを貯蔵し、「情報処理」をします。

この貯蔵と情報処理をキャッシュメモリが担っています。

そして、キャッシュメモリによって貯蔵された情報が、人間の短期記憶に該当します。

 

・ワーキングメモリの弱体化が招く影響・

もしこのワーキングメモリが弱体化、すなわち容量が小さくなったらどうなるのでしょうか。

 

・同時に処理可能なタスクの量の減少

極端に言えば、マルチタスクができません。同時に2つ以上のことに注意を向けられなくなり、不注意症状が現れます。

(私は自分自身のこの症状について、「顕在意識の幅が狭い」と表現しています。)

注意欠陥障害がこれに該当します。

 

・高度な短期記憶的情報処理が困難になる

外部からの情報の入力、及び外部への情報の出力処理は、短期記憶の積み重ねをすることによって達成できます。

ワーキングメモリが弱体化とは、言い換えれば短期記憶するための容量が減ることを意味します。つまり短期記憶となるはずの情報を通常のラインまでに積み重ね終える前に、情報がワーキングメモリの容量から漏れ出してしまいます。

すると、高度な短期記憶的情報処理ができなくなるわけですが、これを言語学的説明すると、例えば、統語論的に複雑な構造の文の理解が困難になります(線上性と関係あるかもしれない)ので

人の話を理解できない、文章を理解できない、作文が苦手になるなどの症状が現れます。

 

これは、広義の学習障害です。

そして、特異的言語発達障害(SLI)や聴覚情報処理障害(APD)です。

 

おそらく、発達障害のなかで特定不能とされている部分(SLI, APD, PDD-NOS)は、ワーキングメモリに深く関わっていると私は考えます。