封印されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

病気ブログというよりは、心理学や言語学を扱ったブログです。きっかけは特異的言語発達障害(SLI)・聴覚情報処理障害(APD)・注意欠陥症状(ADD)。頭蓋縫合早期癒合症の成人当事者です。

DSM-5によるADHDの定義に対する疑問、および多動性と衝動の関係性

1. DSM-5による定義付けに対する問題提起

はじめに、世間一般で認知されているADHDに対する見解を紹介しましょう。

DSM-5によると、ADHDは以下の3種類の症状を持つ発達障害として定義付けられています。

・衝動性 / 多動性

・不注意性

 そして、これらの症状の強弱により、ADHDを以下のように類型化できると定義づけています。

 

ADHD

・衝動 / 多動優勢型

・不注意優勢型(=ADD)

・混合型

 

早速ですが、私が考えるこの分類についての問題点をあげていきます。

 

  • 優勢型と混合型の併存という矛盾

混合型とは、衝動 / 多動症状と不注意症状の両方が強く現れている病態を意味します。なんと、この混合型が全体のおよそ8割を占めるそうです。

もはやADHDの類型化の必要性に、私は疑問を感じてしまいます。。

 

  • 不注意症状の扱い

不注意優勢型と多動 / 衝動優勢型という分類は、ADHDの分析を誤った方向に導くと私は考えます。

その理由については後々詳しく説明しますが、不注意優勢型という類型のなかに、全くの別物同士の障害が存在していると私は考えています。

 

それでは、ADHDに対する考察を詳しく説明します。今回の記事では、多動性に焦点をあてます。

 

2. ADHDの問題の所在

例えば、社会人として仕事をするとき、ADHDだと、

・文書作成におけるケアレスミス

・忘れ物

・落ち着きがない

といった問題が出てくると思われます。 

これらの「不注意」、あるいは「集中力不足」(※)ともいえるADHDの諸症状の本質は、自己の内面から湧き上がる感情や欲求からの衝動を抑えようにも抑えられないことにあります。

まずは、ADHDの多動性と衝動の関係性についての分析をまとめてみました。

(※一般的に「不注意」と「集中力不足」という2つの単語は同じ場面で使われますが、このブログのなかでは異なる意味を持つ単語として意識しながら使用していきます。 )

 

3. 子供はみんな多動ではないだろうか

多動性とは、衝動によって脳内の思考が乱雑となった結果、行動として表出された状態だと私は考えます。

この衝動とは、すべての人間が持っている感情や欲求といった本能ともいえるものです。ADHDに限らず、年端もいかない子どもたちの様子を観察してみてください。子どもたちは感情や欲求の赴くままに行動しています。すると親はたいていこのように言うでしょう、「我慢しなさい!」と。

これを多動性と評価しても良いのではないでしょうか。よく、幼児期だとADHDの児童とそうでない児童との区別が困難という話を聞きますが、ムリもありません。区別できるできない以前に、基本的にみんな多動なんですから。

 

つまり、多動性とは障害の有無関係なく、子どもの性質といえるのです。

 

4. 「衝動の抑制」という社会性の学習

子どもは社会性を学習している段階なので、理解できるかどうかは別として「多動が社会的にふさわしくないこと」やその根拠を知らないでしょう。それに、社会的役割として社会人として振る舞う必要もない段階では衝動を抑えなくても良いわけです。もし仮に、社会性を学ばないまま成人になったら、意図的に感情や欲求を優先させながら行動する人間になるでしょう。

やがて、大人になるにつれて人間は世間体を気にするという「社会性」を身につけるようになります。すると多動性を減らす必要性を理解するようになり、衝動性を上回るほどの自制心を行使するようになります。そうして多動性の側面は隠れていきます。

 

5. ADHDと社会性の学習

一方でADHDの場合、社会性を学習したとしても衝動の抑制が器質的に難しい。これを衝動性といいます。これの影響により、多動性が治らないどころか通常よりも悪化します。

しかし、不思議なことに子供のころは多動性の症状が際立って目立っているのが、一般的に大人になると影をひそめるようになるといいます。このことについて、社会性の学習を通して年齢を重ねるとともに多動性を減らす必要性を理解するので、徐々に多動性が軽減するのではないかと私は考えています。

ただし、成人後でもストレス反応として多動性が顕現し場合によっては悪化することもあるので、多動性がなくなったのではなく、寛解といったほうが適切でしょう。

 

5. 多動症状と衝動性についてのまとめ

これまでの内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

・衝動の抑制ができないこと(衝動性)が、ADHDの本質である

・多動性は障害の有無にかかわらず、子供の性質である

・器質や社会性の有無によって、多動が現れるか否かが左右される

 

さて、以前紹介したADHDの類型を、この時点で可能な限りの修正を加えて振り返ってみましょう。

 

ADHD

多動・衝動優勢型 ⇒多動優勢型

・不注意優勢型(=ADD)

・混合型 

 

特に注目してほしい点は、「多動優勢型」に改称したところです。ADHDの諸症状の根本が衝動性であり、その結果として多動性や不注意性の症状が現れるからです。

 

ここでひとまず修正の方はおしまいとして、ADHDの話は次回の不注意性に焦点をあてた記事に引き継ぎます。

 

(つづく)