検索エンジンに「発達障害」という言葉を入力したあとに出てくる検索候補に、以下のような言葉が存在します。
「発達障害 頭デカい」
「発達障害 頭が大きい」
また、
「自閉症 頭が大きい」
「自閉症 頭囲」
という検索候補も存在します。
あとはYahoo知恵袋でも こういった質問があります。
検索候補として挙がるということは、発達障害の原因を頭の大きさにあると考えている人が、ある程度存在することを裏付けています。
続きを読む言語性知能の低下を伴わない一方で、言語の理解と表出に困難性が認められる特異的言語発達障害の評価対象は、未成年のみに限定されています。
成人当事者については評価基準が未確立であり、2020年も評価できる状態にはありません。それ以前に、日本語における特異的言語発達障害の実態は把握されておらず、メカニズムも不明です。
atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp 成人当事者になっても継続する特異的言語発達障害の困り事については、臨床研究でも扱われていないので、知っている専門家はいないとおもいます。
この記事では、成人当事者である私自身という症例を、幼少期から現在に至るまでのことを紹介します。
その前に特異的言語発達障害の病理を紹介すると、ワーキングメモリの無効化によって、ざっくりいうと目的語が従属節に修飾された複文に対して、表出と理解を一度に実行できないという問題が発生します。主語に従属節が修飾された複文の認知は問題ありません。病理に関する詳細は以下の記事で紹介しています。
atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp
続きを読むatama-psycho-linguistics.hatenablog.jp
atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp
特異的言語発達障害と学習障害の関係について考察した研究は、既に存在します。
山根律子「特異的言語障害とそのサブタイプ」
ci.nii.ac.jpこの研究では、両者の関係について以下のように説明しています。
「特異的言語障害は、学習障害の一部としてとらえられる場合もある。 ・・・学習障害と特異的言語障害とでは、定義の問題に加えて、質的な類似性についての指摘もある。・・・特異的言語障害の原因となるメカニズムが、他の学習障害の領域と共通するかもしれないことが示唆される。このように、特異的言語障害の位置づけは未だあいまいである。「学習障害」「コミュニケーション障害」といった用語の定義が一定でないため、定義により特異的言語障害の位置づけが異なることがその理由としてあげられる。」
学習障害の特徴は「知能が正常であるが、学業を達成するうえでの困難さという性質を持つこと」です。学習障害はどちらかというと「問題概念」です。そして包括的な概念であるため、一つに絞られません。すなわち、「学習障害はこういった症状を持つ」という説明は妥当ではなく、「この精神障害が学習障害である」、というように説明するほうが正しいということになります。
学習障害という概念のなかに含まれる複数の精神障害は、病理および現れる症状が全く異なるもの同士となります。「学習障害」の狭義に該当する限局性学習障害を構成する神経症状の種類は以下の通りです。
・ディスレクシア:視覚言語情報を入力する機能の無効化
・ディスグラフィア(書字表出障害):視覚言語情報を運用する機能の無効化
・ディスカリキュア(算数障害):数字およびそれに関係する概念の理解及び運用の困難さ
学習障害に対して特異的言語発達障害の症状とは、ワーキングメモリの無効化による、複雑な統語構造の文の認知の困難性です。
この症状が学業の達成に与える悪影響とは、大きく分類すると2種類の問題が存在します。
① 「実体的問題」
意味:学業の内容との相性の悪さ、要するに科目の内容との関係です。
② 「手続的問題」:学業の内容を伝達する「メディア」との相性の悪さを意味します。
限局性学習障害とは異なり、特異的言語発達障害による学業に与える悪影響は、ある程度防ぐことが可能です。
まず、「実体的問題」について。以下の科目は特異的言語発達障害の悪影響を受けにくい科目の領域は以下のとおりです。
・理数系科目全般
・英語のなかでは英文法、語彙に関する問題
・国語のなかでは漢字に関する問題
特異的言語発達障害を抱えている場合、理数系科目および、読解問題による配点の少ない言語科目を採用する試験を選択するべきです。
次に「手続的問題」について。特異的言語発達障害は、現実の授業を受けることによって得られる恩恵は少ないです。なので、反復が不可能な授業を選ぶことより、反復が可能な選択肢、例えば教科書を読んでいく方がよいでしょう。
現代は技術の発展により、現実の授業に代わる方法として、例えばオンラインの動画講座という選択肢を採用することにより、たとえ聞きもらした部分を繰り返すことが可能になります。
しかし、いずれにしても教科書および動画講座の中身は文章であるため、結局のところ理解するスピードは通常と比べ遅いため、理解するまでには時間がかかってしまいます。
特異的言語発達障害は、学力の低下の要因としては有力であるため、根本原因に該当する容量性注意障害を治療することが妥当であるといえます。