封印されしアタマのなかより(大人の早期癒合症)

病気ブログというよりは、心理学や言語学を扱ったブログです。きっかけは特異的言語発達障害(SLI)・聴覚情報処理障害(APD)・注意欠陥症状(ADD)。頭蓋縫合早期癒合症の成人当事者です。ワーキングメモリについて研究中。

軽度三角頭蓋(早期癒合症)の原因について考えてみた(骨重積との関係)

まえがき

この内容はあくまでも筆者による仮説です。筆者はある種の確信として考えたことを書き残さなければ落ち着かない性格であるがゆえに、投稿いたします。

 

目次

 

第1 軽度な早期癒合症「軽度三角頭蓋」とは何か?

早期癒合症の論争の火種となっているのが、早期癒合の程度が軽度なものの存在です。これは「軽度三角頭蓋」ともいわれています。

通常の場合、頭蓋骨の前半分(冠状縫合が境目)を占める前頭骨は、乳児期の時点では縦半分に割れ目があります。これが前頭縫合です。

 

この前頭縫合が通常と比べ早期に癒合することがあります。これが前頭縫合早期癒合症です。頭蓋骨が局所的に変形し、それが真上から見て三角形の形をしていることから、「三角頭蓋」ともいわれます。

この三角頭蓋のなかでも、変形が軽度であるものは「軽度三角頭蓋」と呼ばれています。

この軽度三角頭蓋がもたらす問題点や原因について考察する上で、以下のことを考えてみました。

 

第2 軽度三角頭蓋は「個人差」か?

医学従事者の殆どが軽度三角頭蓋の手術に対して否定的です。

理由は様々ですが、否定している根拠の大前提について、以下のことを推測できます。

・軽度三角頭蓋は「そのように作られた」ものではない(第3項に詳細)

・軽度三角頭蓋が「個人差」である、すなわち早期癒合症の範疇ではない(以下詳細)

 

その根拠に前頭縫合の特殊性が挙げられます。矢状縫合やラムダ縫合、及び冠状縫合の場合、早期癒合症ではない場合に限り、癒合後も名残が残ります。それに対して早期癒合症ではないすべての場合、前頭縫合は癒合した後には、その名残が完全に消失します。

そのため、頭蓋変形の程度が著しい場合を除いて、前頭縫合の中心の「嶺(Ridge)」という所見は、あくまでも個人差の範囲であるともいえるわけです。

この論理構造では、軽度三角頭蓋は早期癒合症ではなくなります。

 

そして、軽度三角頭蓋では頭蓋内圧亢進のサインを示さないことが多いので、

しかし、わたしは軽度三角頭蓋は個人差ではなく、れっきとした早期癒合症であり、弊害ももたらすものだと確信しております。現にわたしがそうなんですけれどね。

 

 

第3 三角頭蓋と軽度三角頭蓋の違いに関する仮説

1. 「そのように作られたか否か」という違い

ご覧の通り典型的な三角頭蓋は変形が著しいです。これは、胎内で頭蓋骨が形成される段階で、「そのようにして作られた」結果が、典型的な早期癒合症なのかもしれません。

 

その一方で軽度三角頭蓋は、大泉門や小泉門の存在があることから、三角頭蓋とは違い「そのように作られた」ものではないと私は思います。ただ、閉じるのが通常よりも早くなった結果が、軽度三角頭蓋ではないかとわたしは推測します。

 

では、「そのようにして作られた」わけではないにも関わらず、なぜ早期に癒合してしまったのでしょうか? 

 

2. なぜ早くに閉じてしまったのか?

① 「骨重積」という頭蓋骨の機能

ここで、赤ちゃんの頭蓋骨の機能について説明します。

人間の赤ちゃんの頭蓋骨が癒合していない理由は、赤ちゃんの頭部が産道に通るためです。頭蓋骨が小さく変形することで産道に頭が通るという構造になっていますので、もし頭蓋骨が「完成」されていたとしたら変形できずに産道を通れないのです。

この機能を「骨重積」というそうです。

骨重積⇒児頭が骨盤内に侵入するときの応形機能で、恥骨側にくらべ抵抗の多い仙骨側の頭蓋骨が恥骨部の頭蓋骨下に重なりあう。そうすることで児頭の産道通過断面の縮小化を行う。頭位でのみ起こる。*1

 

 

② 骨重積の「もどり」と早期癒合

以上のことから、出産する際に骨重積を実行させるための一番理想的な組み合わせが、「小さい頭蓋骨と幅の広い産道」という組み合わせであることを理解していただけるかと思います。

話を戻しまして、この骨重積の話から、出産時の母体の産道と赤ちゃんの頭蓋骨の相性によっては、早期癒合をひきおこすことがあるのではないでしょうか。

すなわち「大きい頭蓋骨と幅の狭い産道」という組み合わせの場合、どうなるか?上記の内容より導き出せるのは、産道を通るためには骨重積の程度を強くしなければいけません。

そして産道を頭蓋骨が通り抜けたとしても、変形の程度が強いがゆえに出産後の骨重積の「戻り」が不十分になってしまうということはないでしょうか。

この「戻り」が不十分であれば、縫合の隙間の面積が狭まります。これが通常の場合よりも早くに縫合が癒合する原因であり、こうして軽度の早期癒合症が生まれるのではないかとわたしは考えます。

頭蓋縫合早期癒合症の予後について(成人の早期癒合症の一例)

目次

  • 第1. (序章)成人の早期癒合症のエビデンスがない理由
  • 第2. 私の早期癒合症の説明
    • 1. 早期癒合症のタイプ
    • 2. 発覚するまでの経緯
      • ①発覚したきっかけ
      • ②幼少時より感じていた違和感(キマらないヘアスタイル)
    • 3. 精神症状、その他
  • 第3. 外見はどうなるか?(CT画像あり)
    • 1. 真横の画像(「頭のハチ」とは)
    • 2. 真上の画像

 

第1. (序章)成人の早期癒合症のエビデンスがない理由

みなさん、頭蓋縫合早期癒合症という病気をご存知でしょうか?…というレベルの話で、病気の存在を知っているのは医学関係者か当事者の家族くらいだと思います。それもそのはず、発生頻度は1万人に4~10人*1

と少ないです。(※)

 

早期癒合症をテーマにしたブログは少ないながらもあります。その実態は当事者家族の方々がブログをやっているというケース。それもそのはず、赤ちゃんから学童期にかけての時期に発見されるべき病気なのです。

 

しかし、これを反対解釈しますと、まさか成人になってから発覚する人なんていないだろうというのが一般解釈であるともいえることになります。

実際、早期癒合症であることを自覚している成人は、ほとんどいません

 

実際に早期癒合症を抱えている人自体が少ないと言う可能性も否めませんが、私は程度の差はあれ、少なからず存在すると推測しています。

 

第2. 私の早期癒合症の説明

1. 早期癒合症のタイプ

私の早期癒合症は、軽度とよばれる範疇にあり、軽度三角頭蓋、舟状頭の性質があるとのことです。

具体的に説明すると、以下の部分が早期癒合している状態です。

・前頭縫合

・矢状縫合

頭蓋骨の縦に走る線が全て早期に癒合した状態です。

 

2. 発覚するまでの経緯

①発覚したきっかけ

私が生まれてきた頃は、頭蓋骨の形に対して異常がないと判断されました。とはいえ、もう20と数年前のことなので、現在ならば軽度の早期癒合症だと診断されていたかもしれません。

早期癒合症を知ったきっかけは、精神科で「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」の診断を受けたときに、頭蓋骨との関係性が気になりインターネット上で調べたことでした。

 

 

②幼少時より感じていた違和感(キマらないヘアスタイル)

発覚したのは大人になってからのことでしたが、幼少時のころから自分の頭蓋骨に対して「違和感」を感じていました。いいえ、このころは「違和感」ではなく、コンプレックスだったのですが。

 

髪型にこだわり始めたのは中学生のころでした。周囲のヘアスタイルに憧れ、自分にもできるだろうと考え試行錯誤を重ねたのですが、全くダメだったのです。

この頃の悩みは以下の通りです。

  • ハチの部分の髪の毛が強い
  • 前髪が足りない
  • 頭のてっぺんにボリュームがない

このころは頭蓋骨に違和感を感じるはずもなく、自分の頭蓋骨の形が独特だからだと当時は考えていました。

 

美容院でもヘアスタイルの違和感を解決できませんでした。納得できない私は美容師さんにどうにかならないかと尋ねたところ、以下のような私の頭の形の特徴がかなり強いからだといいました。

  • ハチが張っている
  • M字にハゲている、おでこが広い
  • 髪の毛が剛毛なので立ちやすい

(青線は、早期癒合症の重要な要素です)

そして、「中でもハチ張りや剛毛と言うのはモンゴロイドの頭蓋骨の特徴ともいえるものであり、日本人の多くの人が悩む部分である」

とのこと

ここまで言われては、私も納得せざるを得ませんでした。

 

3. 精神症状、その他

早期癒合症を論じる上で重要な点は、精神症状の有無でしょう。早期癒合症を知ったきっかけで話したとおりで、早期癒合症を抱える私は、「特定不能の広汎性発達障害」と診断されました。

その特徴は以下のとおりです👇

具体的に説明しますと、ワーキングメモリの容量に問題が生じている状態です。詳細は当ブログの以下の記事を参照してください。 atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp

 

他には以下の身体症状(自律神経失調症ともいえる)を抱えています

・内斜視(開散麻痺)

・非びらん性胃食道逆流症

  

第3. 外見はどうなるか?(CT画像あり)

続きを読む

発達障害とワーキングメモリの関係(原因は容量か?それとも機能か?)

目次

 

 

 第1. ワーキングメモリについて

1. ワーキングメモリの役割

ワーキングメモリ(「作業記憶」、「作動記憶」ともいう)についての公式の定義は以下のとおりです。

「短い時間に心の中で情報を保持し,同時に処理する能力のことを指します。」

*1

 

別の見方をすると、ワーキングメモリは外部からの情報の入力の始まりと外部への情報出力の終わりにおいて利用されるので、いわば、人間の「情報処理活動の末端」としての役割を担っているといえます。

 

会話を例に出しますと、

耳にした相手の話を理解するまえに、入力した情報を貯蔵するためのスペースがワーキングメモリです。そして、こちら側からなにか言葉を用いて返答しようとするとき、そのために出力される情報を整理するためのスペースとしての役割もワーキングメモリが担っています。

 

ワーキングメモリとはいわば「机」のようなもので、そこに「電源」である神経伝達物質が作用することで、入出力時に行動が制御されるという構造になっています。

 

2. 記憶との関係

ワーキングメモリとは、短期記憶を貯蔵する領域です。

短期記憶が弱いというのは、つまりワーキングメモリに問題があることを意味します。

 

3. 脳の部位

ワーキングメモリの脳領域について、興味深い情報を発見しました。

「ワーキングメモリの個人差を測定するために,日本語版のリーディングスパンテスト(J-RST)を開発しました。また,fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用い,実験参加者がRSTを行っているさいの脳活動を測定した結果,ワーキングメモリの注意制御システムに関わるもっとも重要な脳領域を発見しました。そして,3つの主要な領域(前頭前野(PFC),前部帯状皮質(ACC),後部頭頂皮質PPC)から構成される中央実行系機能のモデルを提案しました。」

*2

 

第2. ワーキングメモリと発達障害

1. 分類方法

ワーキングメモリは、発達障害を論じる上でも関わりの強い概念です。そこで、今回はワーキングメモリの観点で以下の発達障害を分類してみます。

自閉症スペクトラムADHD注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、ADD(注意欠陥障害)

 

類型分けする際に検証するべき事柄は以下のとおりです。

Q1. ワーキングメモリの働きとは関係があるか?

Q2. ワーキングメモリそのものに問題があるか?

 

すると、以下のような結果になります。

  • ワーキングメモリとは関係がないもの → :自閉症スペクトラム、LD(狭義)

  • ワーキングメモリに作用する部分に問題があるもの → ADHD

  • ワーキングメモリそのものに問題があるもの → ADD

 

ここでは、ワーキングメモリと関わりのある障害についてふれます。

  

2. 機能と容量とで分類すべし

ADHDとADDは、ともにワーキングメモリの働きが弱まっている障害です。

ここでわたしが提案したい観点は、「ワーキングメモリが弱い」と一括りにするのではなく、ワーキングメモリの機能不全によって引き起こされる問題と、あるいは容量そのものの問題によって引き起こされる問題とを比較することです。

 

ワーキングメモリが機能するためには、「電源」の役割を担う神経伝達物質(アドレナリン等)が必要です。

この神経伝達物質がワーキングメモリへの伝達が妨害されることにより、ワーキングメモリが機能不全を陥ります。すると行動の制御が行き届かなくなるため、不注意症状だけでなく衝動性や多動性の症状が現れます。これがADHDです。

ワーキングメモリそのものに問題があるのではなく、その電源を供給するまでの過程に問題があるのです。  

 

  • ADD

一方のADDは、神経伝達物質の分泌量異常とは関係がありません。衝動性や多動性の症状がみられないのは、ワーキングメモリに神経伝達物質が十分に供給され、行動の制御が機能しているからでしょう。

問題は、ワーキングメモリそのものにあり、ずばり↓

ワーキングメモリの容量が小さいことです。

 

電源供給は正常であっても、ワーキングメモリの容量が小さいがゆえに十分に機能していない状態です。

 

すると情報の入力出力での注意が十分に行き届かなくなります。これがADDです。

 

第3. ワーキングメモリそのものの障害

1. 病巣はどこ?

「第1-3」に振り返ってみますと、ワーキングメモリの障害は、ワーキングメモリの役割を担っている領域とされる以下の部位の以上によって引き起こされることは理解できます。

・前帯状皮質

・大脳皮質(前頭前野および後部頭頂皮質)

 

さて、これらの部位の機能を考慮した上で、ワーキングメモリの役割分担をまとめますとこうなります。

帯状回皮質 → ワーキングメモリが動くためのバッテリーの供給源

大脳皮質 → ワーキングメモリそのもの

 

すると、これに「第2」の内容を当てはめると、以下のような結論を導き出せます。

ADHDは前帯状皮質の異常

・ADDは大脳皮質の異常

ということになります。

  

2. 早期癒合症とワーキングメモリ

早期癒合症でどの部位が圧迫されるかによるでしょう。しかし三角頭蓋や舟状頭はいずれも大脳皮質を圧迫する障害なので、これらがワーキングメモリに悪影響を与える可能性を否定する論拠があれば、教えていただきたいです。

早期癒合症についての記事は以下のものです。

 

atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp

 

 

3. ADDと関わりがあると考えられる障害

ADD、すなわち「注意欠陥症状」に由来する派生障害は、以下のものだと考えています。

特異的言語発達障害、聴覚情報処理障害、小児慢性疲労症候群、LD(広義)、離人症

 

第4. (結論)治療薬で「ADHD」が治らないケースについて

神経伝達物質に大脳皮質が作用するという構造を踏まえると、ワーキングメモリの働きが弱い、という現象は、問題の焦点として大脳皮質と前帯状回皮質のどちらかの問題であると考えるべきでしょう。

これは「ADHD」の治療に当てはめることができます。

ADHD治療薬とされるコンサータストラテラを利用することで、症状は緩和されます。しかし、これらの治療薬は「ドーパミン仮説」によるものです。ゆえにもし治療薬による効果がない場合は、神経伝達物質の分泌量異常による障害でないと考えるべきです。もし、不注意性だけの「ADHD」だとしたら、余計当然なことです。

(感想)丸山圭三郎「ソシュールを読む」① 

目次

 

1. 購入したきっかけ

大学では私は法学部に在籍していたので、様々な障害を抱えていることが判明したことをきっかけに言語学の勉強を始めた頃は、言語哲学はおろか、言語学や哲学について全く知らない状態でした。

(…言語学を志したきっかけについてはブログで紹介しました。↓)

  

atama-psycho-linguistics.hatenablog.jp

 

 

そんなとき、私の高校時代の後輩(彼もまた、言語学とは関係のない商学部出身で、現在は会計士として勤務している)と会ったときに、なんと言語学の話で盛り上がりました。

私が、言語学の勉強の仕方がわからない状態であることを話したとき、言語哲学ソシュールの思想から始めると、言語学が理解しやすく感じるようになるとのアドバイスをしてくれたのです。

それを聞いた私は、大学の生協で言語学の専門書を探していたときに、偶然この本を見つけ、迷わず購入しました。

 

ソシュールを読む (講談社学術文庫)

ソシュールを読む (講談社学術文庫)

 

 

私がこの本を購入してからもう2年ほど経過しますが、現在に至るまで数回か読みとおしました。最近になってまた読みたくなり、ついでにブログにも感想を書こうと思いました。

  

この本を最初に読んだ頃は、知識ゼロの状態だったということもあり、途中で読むのをやめてしまいそうになりました。それも当然のことで私自身、本を読み終えるという経験がほとんどないのです。しかし、当時の私が使命感に燃えていたこと、そして内容面においては、私自身の経験と重ね合わせられる内容が随所にあり、共感の連続だったので、読破できました。

 

今回は読みやすさという観点からの感想を紹介していきます。

 

2. 難点:専門用語の難しさ

これは、学術書の内容の奥深さを追求するときに犠牲にせざるを得ない部分ゆえに仕方ないですが、哲学の基礎的な知識がなければ完全に理解するのはむずかしいです。

 

例えば

「アナロジー」、「アプリオリ」、「アポステリオリ」、「形相」、「即自的」、「ディスクール」、「分節」

といった専門用語の意味を事前に知らなければ理解できないでしょう。

また、「恣意性」や「共時態」といったキーワードの意味を理解しながら読書をすすめる必要があります。

 

3. 言語学だけでなく、哲学的視点も必要

専門用語の多さに加え、内容の哲学的な深遠さが書籍としての敷居の高さに拍車をかけていると考えます。悪く言えば、「読む人を選ぶ本」なのです。普段何気なく使用する言語の諸現象について研究する言語学に、その根源的な部分を追求する哲学的視点を組み合わせた学問である言語哲学がこの本の主なテーマです。

つまり、言葉そのもの、あるいは言葉を用いた思考などについて考えた経験のない方には、おすすめできません。社会生活を営む上では必要ないことが書かれている故に、時間の無駄だと感じるようになるはずだからです。実際1回読んだだけでは内容の全体像を把握するのは困難ですので、真髄を理解するまでには何回か読み直したほうが良く、時間がかかります。

 

4. 良い点①:読みやすい構造である

構造が素晴らしい。

一つ目は文の構造です。悪文はなく、読みやすいと私は感じました。その上親切なことに口語体で、読者に語りかけるような表現になっています。一回目の読書で内容が理解できなければ、とりあえず結論の「~なのです」と書かれている箇所だけでも読めば、内容の流れを把握できます。

二つ目は本全体の内容的な構造す。ソシュールの講義録の順番をおいながら、筆者による講義の解説を紹介するという構造になっています。新しい内容が次々と現れるというものではなく、ソシュールの哲学観(関係主義の言語学への導入)が形を変え幾度も登場するという内容になっています。

つまり、読むときに新しい知識を積み重ねるように覚えるという姿勢ではなくてもよくて、断片的に読んでいくのも可能かも。しかも、同じ事柄を言語学研究や言語哲学などの異なる視点で論じていく展開になっているので、知りたい事柄の視点で読解できるのです。

 

5. 良い点②:わかりやすいたとえ

この本は言語哲学がテーマで、ふつうなら概念的な話が多いゆえ、初学者にとってはとっつきにくいはずです。

しかし、概念的な話に説得力を持たせる且つ理解しやすくするために、失語症などの実務的なことや、音楽やヘレン・ケラーなどの具体例を筆者が紹介しているために、理解しやすいのです。

 

6. こんな人におすすめ!

まずは、言うまでもなく言葉に関する現象に興味や関心を抱いている人」でしょう。言語学がどういうものなのかを知るために読むというのは最良の動機です。ソシュールによる、当時の歴史言語学に傾倒する言語学従事者に対する批判や、彼以降の近代言語学ロラン・バルトメルロ=ポンティなど)に与えた影響を俯瞰できるので、わかりやすいです。

  

SF作品が好きな人

言語学を素材としたSF作品(伊藤計劃の「虐殺器官」など)に接触するのも、いいかもしれません。興味を持てば、この本も楽しめるはずです。

 

言語処理が苦手な人

多くの場合無意識的な行為である言語行為に意識を向けているはずだから

 

ソシュールの考えというのは、言語哲学といった学問的な内容にとどまらず、「天才の思考」を垣間見られるような気がします。実際、本書でも創造性と言語との関係性について触れている部分があります。

新しい考え方を知ることで、読む前と読んだ後とでは、世界が違って見える、なんて人もいるはずです(実際私がそうです)。詳しいことは別の機会で綴りますが、それは森羅万象の分節方法の変化を意味するのでしょう。

 

次回からは、内容面に言及してみます。

言語学と心理学を勉強するようになったきっかけ

このブログは、主に早期癒合症や注意欠陥症状に由来する諸症状をテーマとしています。記事を執筆するたびに思うことがありまして、それは、私が提言している内容は、世間一般的に見れば「前衛的」なんだろうなということです。

その理由の一つに、早期癒合症のブログであるにも関わらず、それとは一見関係なさそうな言語学や心理学を交えようとしている点があげられます。なぜ交えているのかというと、軽度な早期癒合症が注意欠陥症状を引き起こす過程を実証し、且つ注意欠陥症状を心理学や言語学を通して考察する必要があると考えているからです。

私が注目しているのは、言語学や心理学の中でも認知に関わる領域となる以下の分野です。

言語哲学

・心理言語学

認知言語学

認知心理学

 

かつて私は大学では法学部に進学し、法律学を学んでいる時期がありました。しかし、現在は出身学部とはほとんど関係のない心理学や言語学を勉強しています。なぜでしょう?

それは、ワーキングメモリが不足しているゆえの苦難がきっかけでした。

ワーキングメモリが不足していると社会生活のすべてのことに人一倍の困難が生じます。特に私が困ったのは、勉学でした。他にも特異的言語障害による口下手などのコミュニケーションの問題も学校生活を送る上でのハードルとなったのは間違いありません。そこで私は自分自身の「正体」を知るために、大学で開講されている心理学の授業を受けてみることにしました。すると、自分自身を客観的に分析しているように感じながら勉強するのが快感で、とても楽しかったのです。こうして、私ははじめに心理学を学ぶことを決意したのです。

心理学でワーキングメモリの働きについて詳しく知ったとき、生活面での問題だけでなく、学業面での問題にもワーキングメモリが関わっているのではないかと疑いました。そこで、

「学業といえば言語ではないか」←学業の学習には言語の理解が必要不可欠

と連想した結果、ワーキングメモリと言語運用との関係性について興味を持ちました。これが言語学にも興味を持つに至ったきっかけです。

頭の良さってなんだろう? ~構図の訂正~

頭の良さを考える上で、「天才」と「秀才」の違いを考察するというのはなかなか興味深いことです。

しかし、分析していく中で気づいたのです。

秀才と天才が獲得した後天的な要素は全く同じであるということです。だから、秀才と天才の比較というのはわかりにくい。

だから、先天的な部分の相違点を分析したほうが良いと私は考えました。すなわち、「秀才肌」「天才肌」という、後天的な要素を差し引いた器質的な側面に焦点を当てるべきなのです。

 

構図(改訂)

秀才肌=X、天才肌=Y(これらは先天的要素)、後天的要素=Aとする。

1. X + A =(秀才)

→ 秀才肌の素質を備えた人物が後天的要素を獲得したとき、秀才たる能力を持った人間となる。

 

2. ( X + Y )+ A =(天才)

→ 秀才肌と天才肌の素質を備えた人物が後天的要素を獲得したとき、天才たる能力を持った人間となる。

 

3. Y < Y + A <(天才)

→ 天才肌の状態に後天的要素を付加しても、天才とはいえない。なぜなら、処理速度が遅い状態であり、その点において秀才に劣るからである。依然として「天才肌」の状態。

 

 いったん整理しなきゃマズいな。

頭の良さってなんだろう? ~補足事項~

「天才肌」と「天才」の違い、あるいは「秀才肌」と「秀才」の違いを説明する上で、以下の観点の説明が必要と感じたので、補足します。

 

それは、頭の良さを器質的な側面と思考的な側面の2つに分類する観点です。言い換えれば、頭の良さとは先天的なものと後天的なものがあるということです。

先天的に秀才や天才になりうるからといって、必ずそうなるわけではないのは当然です。器質的な側面に思考的な側面での「頭の良さ」が加わることで、初めて「社会的に優秀であること」が成立すると私は考えています。

 

先天的な「頭の良さ」:器質的な要素 → ex.「 秀才肌」、「天才肌」

後天的な「頭の良さ」:思考的な要素 → ex. 知識、考え方、論理性、社会性

 

秀才というのは、秀才肌が後天的な「頭の良さ」努力した結果ということなので、

「努力して優秀になった人が秀才」

という世間の解釈は適当だといえます。

 

しかし、一方の天才についての世間の認識、すなわち

「努力しなくても優秀な人は天才」

という解釈は、微妙かもしれません。天才肌だって後天的な「頭の良さ」を身に着けなければ、優秀になれないですからね。

頭の使い方を少し変えながら、努力した結果が天才ということもあり得るわけですし。